屋上绿化
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屋上緑化(サントリーミドリエ、東邦レオ、みのる産業、大和リース)
都会の夏を快適に
都市の気温が上昇するヒートアイランド現象は熱中症やゲリラ豪雨の原因とされる。
この真夏の不快は現象の緩和に、一役買うと期待されているのが屋上緑化だ。
土壌の軽量化など、緑化技術の課題克服が進んでいる。
2009年8月に入り、日本列島は夏本番を迎えた。
例年この時期、都市部で問題になるのがヒートアイランド現象だ。
周辺地域に比べ、都会の気温が高くなる現象のことで、熱中症で救急搬送される人が増えたり、ゲリラ豪雨が発生したりする原因とも考えられている。
今回紹介する技術は、そうしたヒートアイランド対策の1つとして2001年以降、急速に普及が進む屋上緑化だ。
同年、東京都が1000m2以上の土地に建つ建物を新築·増改築する際、一定割合で屋上緑化を義務づけた。
その後、エコロジーブームと相まって需要が急拡大している。
国土交通省の調査によると、2000年に13万5222 m2だった屋上緑化の累積面積は、2008年には約18倍の241万7749m2に達した。
都会に猛暑をもたらしているのは、日射によるビルや道路の表面温度の上昇、空調機器や自動車からの排熱、高層ビル群による風の遮断などだ。
屋上緑化は、
このうちビルの表面温度を抑える効果がある。
夏場、コンクリートがむき出しとなったビル屋上の表面温度は日中で50~60度にも達し、周りの空気を暖めている。
夜間も熱を蓄えたままなので、気温はなかなか下がらず、熱帯夜の原因にもなる。
その屋上を草木で覆うことで、ヒートアイランド現象を緩和しようというわけだ。
草木に含まれた水分が葉から蒸発する「蒸散作用」などによって、通常なら50度以上に達する表面温度を、約20度引き下げることができる。
スポンジで植物を育てる
市場拡大とともに、農機具メーカー、リース会社、飲料メーカーなど、屋上緑化事業に多様な企業が参入した。
水の自動供給システムとセットで施工する場合、工費の相場は1 m2当たり2万~3万円、自動供給システムが不要な場合は1 m2で1万~2万円程度だ。
技術的には土壌の軽量化が課題になる。
建築基準法では、屋上の積載荷重として、1 m2当たり60kgを標準値として示している。
ある程度、背の高い植物を植えようとすると、少なくとも厚さ10cmの土を敷き詰めなければならないが、この場合、1 m2当たりの重量は100kg以上にもなる。
緑化を前提に、最初からその荷重に耐えられる設計にしていれば問題はないが、既存ビルの多くは標準値である60kgまでの荷重しか想定していない。
また工場やプレハブの折板屋根では、さらに脆弱な構造のものが多い。
このため、屋上緑化を手がける各社は、土壌の軽量化に腐心している。
同時に、土壌全体に満遍なく水と空気が行き渡るよう工夫を施している。
植物は根から水と酸素を吸収できなくなると、枯れてしまう。
例えば飲料大手のサントリーホールディングスは、「パフカル」と呼ぶ土に代わるスポンジを屋上緑化用に開発した。
重さは通常の土の半分しかない。
このパフカルを武器に、グループ会社のサントリーミドリエを通じて2008年に屋上緑化事業に参入した。
ミドリエの金山典生社長は、「パフカルのミソは、軽いだけでなく内部に空
気を潤沢に含んでいること。
内部はふかふかの状態だ」と言う。
通常の土だと、給水しているうちに次第に土壌が硬く締まり、酸素が不足してしまう。
これに対して「パフカルなら、スポンジが締まることがない」と金山社長は自信をのぞかせる。
さらに、植物の繊維をスポンジに混ぜている。
毛細管現象によて、水分を全体に行き渡らせるためだ。
パフカルの体積に対して、水分が3割染み込むようにしており、「一番いい状態の土壌をスポンジで再現している」(金山社長)という。
岡山県の農機具メーカ
ー、みのる産業が扱う「エクセ
ルソイル」も、繊維を伝って土
壌全体に水分が行き渡る仕組
みだ。
真珠岩を熱して発泡させ
た粒状のパーライトやポリエ
ステル繊維、ピートモスなどを
混ぜたうえで加熱、乾燥させて
完成する。
パーライトの粒子は
粗いので、粒子と粒子の間に空
間ができ、そこで空気を保持で
きる。
重さは一般的な土壌と変わらないものの、開発者の藤井一徳氏は「もともとはデリケートな苗木の生産用に作ったもので、機能面で他社の土壌に負けない」と言う。
緑化資材などの開発·販売を手がける大阪の東邦レオが「ビバソイル」の名称で販売している土壌は、パフカルと同様に通常の土の約半分の重量を実現した。
ビバソイルに含まれる土の比率は全体の1割にすぎず、残る9割は軽い火山砂利だ。
既に全国各地のビル屋上で豊富な導入実績がある。
東邦レオの熊原淳·広報担当は、「火山砂利には細かい穴がたくさん開いて
おり、ここに適量の水分が染み込むようになっている。
適切に給水すれば、土は少なくて済む」と説明する。
軽量化にはこれらの土壌·スポンジの敷き方や、植える植物の選択にも工夫が必要だ。
コツは厚さ3~7cm程度で均質に敷くことだ。
屋上を薄く覆う構造なので、地中深く根を張ることができない。
茎が上に向かって高く成長する立性植物を植えると、風で飛ばされる恐れがある。
このため、ハツユキカズラなど横に向かって低く伸びる匍匐性の植物や、芝生などの地被植物を選ぶ。
こうした植物は、背が低くとも十分にヒートアイランド現象を緩和する効果があるという。
例えばミドリエは、パフカルを厚さ7cmのマット状に加工して敷き詰める「緑の屋根ライト」という商品を販売している。
水分を含んだパフカル、植物などを含めた1m2当たりの総重量を33kgに抑えた。
みのる産業の場合は、エクセルソイルを5cmの厚さに加工し、屋上に敷き詰める。
総重量は1m2当たり50kgである。
立性植物で見栄えも
このほか、大阪の大和リースも「ecoヤネ」のブランド名で屋上緑化事業を手がけている。
独自開発した軽量土壌を3cmの薄さで敷き、1m2当たりの総重量を45kgに抑えた。
土壌がわずかしかないため、植える植物に匍匐性のツルマンネングサを採用している。
見栄えを重視し、立性の植物を植えたければ、少なくとも10~12cmほどの土の厚みが必要となる。
この場合、土壌を均一に敷き詰めるのではなく、植物を植える部分だけ10~12cmと厚くして、ほかの部分は土の代わりに発泡スチロールなどの軽い素材で埋めることで軽量化を図る。
例えば東邦レオは、「R—パレットシステム」と呼ぶ、凹凸のついた発泡スチロール製の土台を開発した。
植物を植える部分が凹んでおり、10cmの厚さでビバソイルを敷くことができる。
ほかの部分は土台が盛り上がっており、その
分、使用するビバソイルの量を6割減らした。
その結果、1m2当たりの総重量を約60kgに抑えた。
ミドリエも、同じようなプラスチック製の土台を製品化し、給水システムなどとセットで「緑の屋根」の名称で販売している。
植物を植える部分だけ穴が開いており、そこに厚さ12cmのパフカルがはまるようになっている。
1m2当たりの総重量は40kgだ。
軽量化以外にも、解決すべき技術的課題はある。
みのる産業の藤井氏は、「屋上という特殊な環境で発生する害虫をどう駆除するのか、地域ごとにどのような植物が屋上緑化に向いているのかなど、今後解決すべきことがまだ多い」と言う。
植物が枯れてしまうトラブルや、根が屋上を突き抜けてしまう問題なども発生している。
屋上緑化はまだ歴史の浅い技術だ。
過去に施工したケースの経年変化などを地道に追跡し、データを集め、人工土壌や施工方法を改善するなど、取り組むべき課題は多い。
設問:
①ヒートアイランド現象の仕組みを説明しなさい。
②ヒートアイランドは地球環境問題にどのように関連してくるかを説明しなさい。
③屋上緑化はヒートアイランドを抑制できるのはなぜか。
また、その効果について説明しなさい。
④屋上緑化が一番の課題は軽量化である。
サントリーミドリエ、みのる産業、東邦レオ、大和リースの各社の軽量化工夫を表にして整理しなさい。